〈SLE体験談その7〉

 節分過ぎて立春となりました。皆さんの家では鬼さん出て行きました?うちではなぜか私が鬼役で、鬼と一緒に煩悩も逃げて行くように追い出しました。ただ、私にとってSLEは個性ではあっても鬼ではないんで…。
 さてさて、入院中の話も残りわずか。今日は看護婦さんのお話。


 入院中の身の回りのお世話は当然ながら看護婦さんが担うわけですが、前回出産時にお世話になった時に比べ、今回の入院ではその仕事ぶりを身近に目の当たりにして、本当に勉強させてもらいました。夜の看護婦さんもそうですが、昼間の看護婦さんも本当に…凄い。

 朝の検温に始まり、血圧測定・血糖値の計測・血中の酸素濃度測定、ホットタオルの支給に朝食の配膳・片付け、歯磨き用のコップに水を入れてくれたり、氷枕を取り替えたり、先にも書いたトイレや入浴室の行き帰りの付き添い、昼食時の配膳・片付け、昼間の測定。たまにベットの寝具の交換を二人掛かりでワーッとあっという間にこなす様子や、入浴出来ない時の洗髪の手早さなど、一見看護婦の仕事の範疇外とおぼしきことも一流ホテルのベットメイキングや美容院並みだと、いちいち感心していました。

 そして何よりも「命を預かる仕事」ですから、計測で異常が出ればそのデータは看護婦を通じてすぐ担当医に通知されます。一度、入浴した直後の検温だったため、翌朝の巡回時に「昨日の検温高かったけど、何かありましたか?」と担当医の先生に聞かれたことがありました。それで、「あ、そうか、看護婦さんの目は担当医の先生のもう一つの目なんだなあ」と思ったものです。

 そんな風に、常に患者さんの様子に神経を研ぎ澄ましつつ、いつも笑顔を忘れず、なおかついろんなことに動じない図太さというか明るさというか、何事も楽しんじゃえという姿勢というか…。ある時、同室の向かいのベットに少し痴呆のある方とおぼしき患者さんが入院してきて、なぜここにいて点滴やら繋がれているのか理解できずに、両手にミトンの様な誤動作防止用のグローブをしているにもかかわらず、点滴のチューブを全部引っこ抜いてしまいました。辺りはもちろん水浸しの血だらけ。そんなときも看護婦さんたちは数人がかりで「あ~ら○○さん。点滴抜いちゃだめでしょ~」とまあ、何とも明るい声で布団やらシーツやら交換をさっさとこなし、「その手袋はね~、はずせないのよ、ちょっとがまんしてね」と何回も説得していました。この「点滴引っこ抜き」は、のち何度か起こり、その度に後始末を軽々とこなす姿は、本当に凄いと感心しっぱなしでした。もっとも、汚物を処理するのが日常茶飯事の看護婦さんにとっては、これくらい序の口な事だということでしょうが、凡人なら、「もう、いい加減にして!」と怒りたくもなるところ。…これから直面するであろう介護の心構えを学んだ気がします。

 でも何といっても一番の看護婦さんの仕事は、病気や怪我で入院している患者さんの「不安」を取り除くことの一言に尽きるのではないでしょうか。苦痛の不安はもちろん、一人病院で闘病しなければならない不安、未来への不安。それらを少なくとも、ここにいる僅かな期間だけでも、なるたけ取り除き、安らかに過ごしてもらいたい。クリスマスの時の事でも少し触れましたが、看護学校の時からそれを一貫して学び、身に着け、実践していく看護婦という仕事を選んだ人たちに、心からの感謝とエールを送りたいと思います。

 あぁ、どうしても長文になっちゃいますね。今日はこの辺で。ではまた~。