あひるのひとりごと

国指定の難病であるSLE(全身性エリテマトーデス)患者だけど、精一杯生きてます。大好きな植物さんのこと、ルーマニアの伝統楽器パンフルートのこと、夢の実現への足取りや、そのほか想うこと…書いています。

「聖地の泉はすぐそばに」

 年明け、身近なものの再発見をしました。

 

 

 私はもともと都会のマンション育ちですが、近場の川に興味がありました。ただ土手をサイクリングするだけですが、何だか水辺が好きでした。無論、都会の川ですから、近づけばヘドロ臭いし、余り綺麗とは言えませんでしたが、時には市内を流れる大きな川にも足を運び、眺めていました。父親の釣りにもよくついて行きました。

 

 海も好きでした。父の田舎が海に近かったので、親戚の方が田舎に行く度に海に連れて行ってくれました。母によると、生まれた年?にも海へ行ったけど、初めから怖がらなかったとか。今でも砂浜に打ち付ける波は好きです。結婚後は熱海や沼津の砂浜に秋になるとたまに行っています。ただ、船着き場のように大きな底深い岸壁の海はどうも暗くて怖くて苦手です。何だか引き込まれて落ちてしまいそうで。

 

 ではプールはどうだったかというと、体育の授業で泳ぐのは特に得意ではありませんでしたが、潜水をしている時の、空気中とは違う水中の感覚とその静けさが好きで、何度も何度も潜って楽しんでいました。市民プールも塩素臭いのは好きになれなかったけど、流れるプールでひたすら浮き輪にまかせてプカプカ流されたり、潜ったりして夏の一時を良く楽しんでいました。

 

 

 ちょっと話は違いますが、神社に行くのも好きです。手水で手を清めて鈴をガラガラと鳴らし、お参りするのが何となく好きです。小さい頃は近所の神社、田舎で連れて行ってもらった新潟の弥彦神社、いとこのいる茨城の鹿島神宮、中学の鎌倉旅行の寺や神社、修学旅行で京都の平安神宮、思い出しても結構行ってますね。結婚してからは一人で三島大社にも行きました。また病院通いの途中のお不動さんに行き、二回目は息子の受験守りを頂いてきました。箱根神社と九頭竜さんは以前、仕事で近くまで行っていたものの、まだ一度も参拝したことがなく、この年末年始にぜひにと思ったもののまだ行けてません。

 

 結婚して縁有って伊豆に来てからは、水と神社が一緒というところも点在し、碧く神秘的な柿田川湧水と貴船神社、滝がご神体の瀧川神社(瀬織津姫)、近隣の不動神社(滝がある)、そして住んでいる地元の地区にも「不動の滝」があります。伊豆では滝があるところにはなぜか不動明王の石像があることが多いようで、滝イコールお不動さんを祭るという風土みたいです。地区の「不動の滝」にも小さな祠があり、何が書かれているかわからないのですが、恐らくその名からお不動さんが祭られているものと思います。

 

 

 さて、こんな水と神社が好きな私が、去年の年末近くにパワースポットして人気がある瀧川神社に行った時のことです。

 グーグルさんを頼りに行ってみると、以前、主人の知り合いに頼まれ夫婦で行ったところの道沿いでした。行った当時は気づかなかったのに、なあんだこんなところにあったのかというほどの近さでした。ごく普通の田舎の風景の中に、その神社はありました。

 動画などで見ていた通り、なるほど、川の岩壁から水が滾々と湧き、流れ落ちていました。その様子を見て、ふと、遥か箱根神社そばの芦ノ湖からの水脈が尾根づたいに流れてきているのかも、と想像しました。でももしそうならば、近隣の不動神社の滝もそうじゃないか?いやいや、そうしたら地域の「不動の滝」だって、水脈の分流じゃないのか?とハタと気付きました。

 

 改めて、「不動の滝」を見に行ってみました。かつては伊豆七滝と呼ばれていたというものの、今では高さ数十センチの所から流れ出るちっちゃなちっちゃな滝です。夏場は蛍が飛ぶので見に来る人もいますが、普段は草刈りをするとき以外は全く誰も来ることのない場所です。しかし改めてよく見ると、岩壁と滝つぼの底のあちこちから水が水中に湧き出ているではありませんか。まるでミニチュアな瀧川神社と柿田川湧水を足して二で割ったかのようです。それらが合わさって結構な水量となり、下へ流れ下っています。

 

 「やっと見つけた」と、私は思いました。「こんな近くにあったんだ」

 

 かつて入院中にあこがれ、退院してから念願かなって見に行った柿田川湧水よりも。

 高く岩壁から流れ下る名高き瀧川神社よりも。

 こんなにも身近に湧き出る泉が……まるで心の中にある泉のような地があったなんて。

 小さくて静かな聖地があったなんて。

 

 それに気付いて以来、時間を見つけては通っています。

 

 

 何をするためかって?

 

 もちろん、泉を眺めるためではあるんですけれども、実は、プラスαがあります。

 以前は隣の地区の史跡兼公衆トイレ傍でこっそり(笑)練習していた、笛の練習をするためです。近隣に家はないですし、どんなに大きい音が出ても、まず怒られる心配がない。まあ、たかが一日当たりの時間は最長で30分程度ではありますが。

 

 一礼をし、今日の水の湧き具合はどうかな?と観察した後、姿勢を正し、心に湧く泉と目の前の泉を重ねつつ、今日も息を吹き込みます。

 

 ただ……今の時期はいい場所なんだけど、夏はどうかなぁ。蛍が出るのはいいけど、ヤブ蚊も多ければ、又考えなくちゃなあ、練習場所。目下の悩みです。

 

 

 ではまた。