あひるのひとりごと

国指定の難病であるSLE(全身性エリテマトーデス)患者だけど、精一杯生きてます。大好きな植物さんのこと、ルーマニアの伝統楽器パンフルートのこと、夢の実現への足取りや、そのほか想うこと…書いています。

「恐怖の大王は降りてこない―ワクチン接種に思うこと」その1

 今、ウイルスではなく、「ワクチン接種の賛否」という戦争が始まっています。公的にではなく水面下、主にSNS上での攻防ですが、じわじわと確実に世界を二分する戦争です。

 

 笑い事ではなく、私の知り合いの中でも周囲に高い城壁を作ってしまっている人が何人もいます。悲しいことに、その鉄壁を本人は意識できていません。私は突き放し拒絶するのではなく、冷静に見守っていく決断をしてはいますが、一種の洗脳状態に陥ってしまっているその方たちの文章や動画を見聞きする度、心の声が届くよう祈るばかりしかない自分の無力さにため息が出ます。

 

 もちろん、ワクチンの接種自体は本人がするかしないかを選ぶ権利があり、したくない人の権利も保証され、差別を受けないようにしなくてはいけません。その点日本は強制ではなく(忖度や集団的圧力は除いて)、個人の自由が認められ保証された素晴らしい社会だと思います。

 

 ただ問題に思っているのが、接種の希望しない人たちの正当性として広まっている情報の内容とその広がり方です。

 

 「コロナウイルスは存在しない。ただの風邪。三日も寝てれば治る」

 「ワクチンを打つと、三年で死亡する」

 「ワクチンのスパイクタンパクはエクソソームとして周囲に拡散し、接種した人が妊婦に接触するだけでうつり胎盤に悪影響」

 「ワクチン接種すると不妊になる」

 

 などなど・・・。

 

 その根拠や仕組みを解説しているところもありますが、体の成り立ちにうとい人だと、「偉い人が言ってることだから真実だろう」と容易に信じてしまうであろうと思われます。

しかしそれらのほとんどがだいたい同じ出所からリンクしている「伝言ゲーム」状態。誰も責任を取らないで済むように動画の使いまわしで、「じゃあ、それを証明する動物実験を自分でやってみたんかーい!(動物さんごめんなさい。感謝)」とツッコミを入れたくなります。

 

 以下、私の個人的な見解と解釈。

 

 

 「コロナウイルスは存在しない。ただの風邪。三日も寝てれば治る」

→そりゃーもともとコロナウイルス自体は風邪の代表株ですが、新型はそうでないから問題なんでしょうが。大腸菌と病原性大腸菌O-157騒動をお忘れですか?

 

 この件で恥ずかしいというか、悲しいというか・・・厚生省に実際に「コロナウイルスって本当に存在するんですか?」と電話した人が、知人に、います。でも私は厚生省に電話するのではなくて、国立感染症研究所にでも「その足で行って」「その目で電子顕微鏡を覗いて」確かめて欲しかったなあ、と思います。厚生省に電話したって、下請け業者が怪訝そうに返答するに決まっているじゃないですか。行くべき先が間違っていると思うのは私だけ?

 

 「ワクチンを打つと、三年で死亡する」

→プロセス拝見しました。が、人間の身体の免疫システムがそう簡単にワクチンタンパクに乗っ取られるほど、やわで単純な仕組みなら、そもそもSLEだってとっくに解明されてますよ。骨髄で生まれ、胸腺で淘汰され、腸で鍛えられ・・・と複雑な過程で成り立っている免疫系統が、ワクチン一本で「右にならえ」するとは到底思いません。ましてや、補体と呼ばれるサブ免疫系統まである複雑怪奇な人体の仕組みのこと。ありえないと考えるのが現代医学の常識。しかし、現代医学を拒否し、自然医学を信じてる人は逆に人間の免疫システムを信用せずにこのプロセスの方を信じちゃうのよね。自然医学って、人間の免疫システムを信じてるんじゃなかったの??このデマに引っかかっちゃう不思議。

 

 「ワクチン接種すると不妊になる」「ワクチンのスパイクタンパクはエクソソームとして周囲に拡散し、接種した人が妊婦に接触するだけうつり胎盤に悪影響」

→タッチするだけでうつる?これはかなりブラックユーモアな話。これが事実なら人間は出産という一大イベントとおさらばしてこれからの人類は全て育成チューブ生まれになりますね。快楽のためのセックス産業は花盛りとなること必至ですが(苦笑)。

 

 まあ、冗談はさておき。実は、この話が広がるとかなり深刻な事態が発生します。

 

 それは、打たない人が打った人に対して、「保身」と言う名の差別を生み出していることで、「接種した人(スパイク・ヒューマンと呼ぶそうです)が孫の近づいたら蕁麻疹が出た」「調子が悪くなった」「死んだ人がいる」とのデマが広がり、「スパイク・ヒューマンとの距離をなるべくとろう!」「スパイク・ヒューマンと接しても影響を受けないようにするには免疫力を上げよ」とかいう動きが出てきています(まるで「ゾンビウイルス感染者」並みの扱い!ホラー映画の見過ぎだよ、まったく)。

 

 これらの動きが進むとすると・・・、

・「お付き合いしてた彼が打ったの。だから別れちゃった。」

・「子供を学校に行かせるのが怖くて打たない人たちだけのフリースクールの通わせることにした。」

・「会社を辞めた。」

・「結婚を前提にお付き合いしてたけど、相手の両親が打ったので近づくのが怖くなって破談にした(もっともこのくらいで別れるなら本当には愛していないのでしょう)。」

・「相方が打ったので離婚した。」エトセトラエトセトラ・・・。

 

 こんな未来が待っている???冗談じゃない!!!

 

 私がびっくりこいたのが、昔からのかなり有名な占星術的人生相談の先生までもが、接種した人に対する毒消しのお祓いの音だと称した動画をアップしていたこと。こんな方までもがワクチン有害説を本気で信じてるんだとショックでしたが・・・。

 

 長くなったのでその2に続きます。